戦国新報
 
 
平成6年 前期
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歳にカーテンをおろす…人生は六十歳から…
北条早雲の常識を超えた若さ
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 北条早雲は若さを保つ秘訣を「老いたと思わぬこと」を第一にあげている。一介の素浪人からのしあがり、小国の城主になったのは、六十歳に近かった。当時の六十歳は人生の終着駅だったが、早雲にとってはこれからが人生の本番で、ダイナミックに行動する。韮山城主の北条が死ぬと、手練手管を使って北条一門の歓心を買い、未亡人のところへ婿入りした。六十歳の入り婿とは恐れ入る。
 こうして韮山城主となった早雲は、三浦半島に出兵する。苦戦の末、足かけ七年で三浦一族を滅ぼしたが、早雲は八十七歳になっていた。翌年早雲はこの世を去るが、このみなぎる若さはどうだろう。まことにみずみずしい息吹にあふれた人生ではないだろうか。
 サラリーマンの中には、三十〜四十歳代の若さで精神的に老けきっている人がいるが、いったん心が老いたらもう未来は開けない。年齢にカーテンをおろし、常識にとらわれず、慣習の枠を破るしかない。北条早雲に見習い、生涯をみごとに充実させたいものである。
【文:高田 金道】