戦国新報
 
 
平成6年 後期
もどる
平和の中に危機太る…
功労意識が抜けなかった福島正則
すすむ
 福島正則は関ケ原の合戦で最大の戦功を挙げた猛将である。
 予想以上の大勝をおさめ、天下人の座を獲得した家康は、その後、福島正則ら豊臣系諸将の弾圧に乗り出す。
 しかし正則は功労意識が強すぎ、自分がそんな危険な標的にされているとは露とも考えていなかった。家康は自分の戦場での働きに感謝しているはずであり、またそうであって当然と思っていた。過信にもとづいた正則のおごりは、日増しにあらわになり、家康も眉をひそめることが多くなった。正則は最後には芸備五十万石も没収されることになる。
 組織にとっての危機は、はっきりと見える形でやってこない。むしろ業績が安定している平和な時に大きくなっていくこともあるようだ。正則はその辺の目配りに欠けていたようである。
【文:高田 金道】