戦国新報
 
 
平成6年 後期
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あだ名をサルと呼ばれ喜んだ籐吉郎(秀吉)
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 信長の草履取りという仕事に対しても、草履をふところに入れて暖めるという奇抜なアイデアで、どんな仕事に対しても一生懸命だった籐吉郎。
 『おい、サル』と気安くあだ名で呼ばれ、仕事を頼まれるとニコニコしながら、たちどころにこなしてしまう。籐吉郎の偉いところは『地位も身分も財産も』ないから、仕事を頼まれなければ生きていけない。仕事をもらえるように誰よりも智恵を出し、工夫し、自分のやり方を通したところにある。他国に使われて行っても、決してただでは帰ってこない。何か頼まれた時にすぐに役立つように、情報を仕入れ備えていたのです。 信長はこの籐吉郎の情報網と仕事をこなす才能を見抜いて、『サル、サル』と呼びつけ、他の武将達よりも多くの仕事をやらせたのである。
 チャンスは一瞬の勝負である。今のスピーディな世の中にのんびりしていたら先を越されてしまう。ある意味では尻が軽くならないといけない。『そのうちにやればいい』などと腰が重い人は、多くのチャンスを逃がしてしまう。
 籐吉郎の誠心誠意、工夫創造、迅速確実な仕事の仕方は、今の時代でも必要なことではないだろうか。
【文:高田 金道】