戦国新報
 
 

平成23年 後期
【 H23.9.4】

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敗者から物事を学べるか

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 勝負は勝つか負けるかどっちかである。負けたことで気付くことがいっぱいあるし、反省することも大いにある。勝った時にどうして勝ったかを反省する人は意外と少ないようだ。勝利に酔い相手の敗北を喜ぶ人もいるような気がするが…。
  戦国の世、関ヶ原の合戦は徳川方東軍の勝利で幕を閉じた。西軍の将、石田三成は敗北して捕らわれの身となった。東軍の武将達は三成を見下したりバカにしたり笑ったりした。だが、藤堂高虎という武将だけは三成に向かい頭を下げ「この度の合戦で貴殿の部下達はなかなか強かった。さすがだ」と褒め称えた。そして「ところで三成殿にお願いがあります。どうか我が軍について何か気がつかれたことがありましたら、どんなことでもいいですからぜひ教えていただきたい」とさらに深く頭を下げた。
  そしていろいろなことを三成から学んだ高虎はその後、大阪冬の陣、夏の陣の戦いで三成から学んだことを教訓にして勝利を得たという。高虎の「敗者から学ぶ」という心構えはさすがに立派である。
  いつの世も、いろいろな人たちと接する時、相手から何かを学ぼうとする心構えが自分を育てる絶好のチャンスだと思うが、なかなかむずかしい。


【文:高田 金道】