戦国新報
 
 
平成18年 前期
【 H18.2.5】
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自信と油断
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 何事も「自信」を持つことは大切なことだ。しかしあまりにも「自信」を持ち過ぎて他人の話に耳を傾けようとしない人もいる。「自信」があっても他人の話をよく聞くことによって、自分では考えてもいなかった案も出てきて参考になると思うのだが…。
 戦国の世、天下取りを目指して尾張領に入った今川義元。絶体絶命の危機に陥った信長。義元の信長に対する絶対的な「自信」は、桶狭間で休憩するという「油断」に変わってしまい、その隙をついた信長の奇襲攻撃が成功して義元は敗れた。誰も予想できなかった桶狭間の勝利で信長は大きな「自信」を持ち、天下取りへの希望が大きくふくらんだ。
 しかしその信長も天下取りを目の前にした時、信頼していた部下の明智光秀の謀反によって本能寺で敗れた。これも「自信」から生まれた「油断」から起きたことだった。疑い深く天才的な信長も「自信」を持ち過ぎて「油断」から危険に対する感覚が抜けていたようだ。部下の話に耳を傾けようとしなかったところに問題があった信長…。
 いつの世も「自信」がつくと「おごり」が出る場合もある。「自信」があっても謙虚に常に危機感を持って一所懸命がんばることで良い方向に進むような気がするが、なかなかむずかしい。

【文:高田 金道】