戦国新報
 
 
平成16年 前期
【 H16.5.2】
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おごりから出た油断
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 何事も「用心する事にこしたことはない」と言って行動する人を慎重派と言う。だがはたしてそんなに用心深く物事を考えて行動する人がいるのだろうか…?
 戦国の世、信長ほど用心深い武将はいなかった。常に何か事を起こす時は、自分の回りには千五百人以上の部下を引き連れて行動した。しかし天下を目の前にして、本能寺にはわずか百人程の兵を引き連れて宿泊した。用心深い信長でも、本能寺の回りの国々は自分の配下の武将達の国々であったために、安心して宿泊したのである。まさか身内の光秀が謀反を起こすとは誰も予想できなかった…。「油断大敵火がぼうぼう」ということわざがあるように、信長の「おごりから出た油断」が起こした出来事であった。最後は燃え盛る炎の中で、用心深い自分のことを反省しながら自害したと思う。四十九歳の生涯であった。
 いつの世も、慎重に用心深く考えて行動する事は大事だし、人の動きあるいは回りの人たちが何を考えているのか良く見極めることも大事なような気がするが、なかなかむずかしい。

【文:高田 金道】