戦国新報
 
 
平成15年 前期
【 H15.5.18
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友 情
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 友情にもいろいろある。逆境のどん底に陥った時、自分が汚れる事などかまわず同情する人。また、離れていく人いろいろいる。友人の中には「愛する友」「忘れる友」といると思うが、「愛する友」とは自分の評判が悪くなることを気にせず、友人のために一所懸命がんばっている人。それを「悪友」と言う人もいる。「忘れる友」は「善友」と言う人もいる。「善友」はよい人ではあるが、自分の友のために汚れることを嫌い、同情しないから相手から忘れられる。また、人を評価する場合、その人の回りの友人を見れば、だいたいわかるという人もいる。戦国の世、秀吉の部下に大谷吉継という武将がいた。秀吉亡き後、吉継は関ケ原の戦いで悲劇の武将とも言われた。家康に破れることをわかっていながら、石田三戌との友情を選び、三戌に同情したのである。吉継はハンセン病で苦しんでいた。秀吉の茶会が行われた時、茶碗が回つてきたが、その中に自分の膿が落ちてしまった。回りの武将達は吉継の病気を知っているため、書継は茶碗を回すわけにはいかず因っていた。その時三成は「咽がかわいた」と言って吉継の茶碗を飲み干した。吉継はこの時の友情を生涯忘れなかったのである。人生楽しく生きるためには良き友を持った方がいい。ある時はライバルであり、ある時は相談相手であり、ある時は意見の相違による争いもありそれがお互いの友情であり、信頼でもあるが、長く保つためにはお互いの緊張感も必要だと思うが…。

【文:高田 金道】