戦国新報
 
 
平成15年 前期
【 H15.3.9
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能代時間
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 いろいろな会合や打ち合わせの中で、時間厳守なのによく遅刻してくる人がいる。「申し訳ない」と頭を下げる。するとみんなは「能代時間だからなあ」となんとなく気にもせず話がはずむ。だが、時間は大切だ。時間を守らないと、決まる仕事もダメになる場合もあるような気がする。人を待っている立場を考えると、時間を守るのはあたりまえのことだと思うのだが…。
 戦国の世、相手を待たせて有利に勝負を決めた剣豪がいる。巌流島の決闘、今話題の宮本武蔵である。相手は燕返しの秘剣を持つ佐々木小次郎。世間は小次郎が有利と見ている。武蔵は遅刻をして相手を待たせる作戦に出た。小次郎は頭に来て、イライラし、集中力がなくなり、勝負は武蔵の思うつぼになったのである。まさに「能代時間」の勝利であった。
 もし今の時代こんなことをすれば信用がなくなり、必ず失敗するだろう。これは今の時代で考えると例外中の例外であるような気がする。
 もし、小次郎が武蔵を待っている時間を有効に使い、落ち着いた戦略を立てていれば、勝負はどちらにころんだかわからない。
 何事もイライラしたり、カッカしたりすると良い知恵も出なくなり、失敗することが多い。何事も冷静に物事を考えることで良い方向に進むような気がするが、なかなかむずかしいことだ。

【文:高田 金道】