戦国新報
 
 
平成14年 前期
【 H14.5.19
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明るい人は「得」がある
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 表情の明るい人、笑顔のある人は少々のことで不平を言わないように見えるし、多くの人から信頼され、好意を持たれるように思う。また多くの仲間が集まってくるし、相手にも安心感を与えるような気がする。
 戦国の世、秀吉は農民の生まれだったが、そのことで「くさったり」はしなかった。むしろ少々みじめな生活をしていたにもかかわらず、希望を持ちながら、少しも「落ち込む」こともなく、明るく陽気で元気があった。信長に仕えて、草履取りからやがて馬番になった。当時としては身分の低い仕事から始まったのだが、身分の低い仕事にも決して不平を言わずむしろ信長に仕えたという感激の方が強かった。仕事は辛かったが、仕事があるということに対して喜びを感じ、信長のために仕事に励んだのである。その馬番の仕事の時、秀吉は自分の給料で「馬」に人参を買ってあげた。そのせいか戦の時、信長の馬は特別に体力があり
秀吉はよく誉められた。上司の馬のために自分の給料で人参を買うというのは、他人にはマネのできないなかなかの気配りである。
 不況の世の中、秀吉に見習わなければならないことはたくさんあるが、気配りと明るい笑顔で自分の仕事に打ち込むことで何かしらの「得」を得ることができるような気がする。だが、なかなかむずかしいことだ。

【文:高田 金道】