戦国新報
 
 
平成14年 前期
【 H14.2.24】
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誠心誠意
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 一生懸命に真心こめて相手に接しても、相手に通じなければ何にもならない…。相手の気持ちになって考えることが大事なようだが、相手あってのことだからなかなかむずかしい。
 戦国新報では、秀吉の草履取りの話を何回も書きました。
 ある寒い冬の朝、主君信長に冷たい草履を履かせたくないと思い、真心を持って暖めて差し出したが、信長は「サルめ、ワシの草履を尻にしいてあたためたのか」と怒鳴りつけた。秀吉は「とんでもない」と言って、自分の「懐」で暖めていたことを証明したのである。信長は納得して気の利くやつだと誉めた。もしこの時、秀吉が草履を懐に入れて暖めたことを黙っていれば、せっかくの真心も信長に通じなかったと思う。
 秀吉は百姓の生まれ。身分も低く、学歴もない。いかにして出世するか、またいかにして信長の目にとまるかそれだけを考え、草履を真心込めて暖めたのである。このちょっとした気配りが、秀吉の出世街道の足がかりになった。
 いつの世でも、誠心誠意で思いやりを持って相手に通じるように、しっかりと真心で接することが大事ではないだろうか。真心が相手に通じた場合は、お互いの人間関係が築かれ、何事も良い方向に進むような気がする。だが相手あっての自分だから、なかなかむずかしいことだ。 
【文:高田 金道】