戦国新報
 
 
平成14年 前期
【 H14.2.10】
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仕事が人を作る
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 ある新聞の記事に「仕事が人を作り人を育てる。そして働きながら人となって行く」と書いてありました。なかなかいい言葉でその通りだと思うし、いろいろな仕事を体験することで、仕事から仕事を教えられると思う。そして、「難儀」をして工事が完成した時こそ仕事の本当の喜びが湧いてくるような気がする。
 戦国の世、信長は隣の美濃の国を攻めるために墨俣に出城を築き、攻撃の拠点にしたいと考え、部下達に工事をまかせたが、ことごとく失敗に終わった。誰か他に引き受ける者はいないかと訊ねたところ「私なら、一日で造ってみせる」と藤吉郎が言い出した。回りの武将達は皆びっくりしながら笑いだし、藤吉郎はもう終わりだ。切腹だ。と馬鹿にした。だが、藤吉郎には一夜にして城を造れる工事工程表がきっちりとできていたのである。それは今で言う「プレハブ住宅」のしくみである。これによって誰もできなかった城を、言葉通り一夜にして完成させたのである。これが有名な「墨俣一夜城」である。
 やがて、織田軍の前進基地となり、美濃を攻略することができたのである。藤吉郎はこの仕事で自信がつき、藤吉郎という人を作り、武将となるきっかけとなり、信長はもとより回りの武将達からも信頼されるようになった。
 今の世も大変な世の中だが、自分に与えられた仕事には、アイデアを持って一所懸命がんばらなければならない。がんばって成果が上がった時には、喜びも倍にわき自信もつき、その後の仕事にも必ず良い成果が上がるような気がするが、なかなかむずかしいことだ。
【文:高田 金道】