戦国新報
 
 
平成13年 後期
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ちょっとした気配り
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 毎日あっちこっちと走り回ってもなかなか良いことに巡り合わないものだ。ところが突然ちょっとした「ささいなこと」や、「気配り」から良いチャンスに巡り合う時がある。
 戦国の世、「ささいな気配り」で大出世した武将がいた。秀吉は信長の草履取りをしていた時、信長の草履を自分の「ふところ」に入れて暖めるという「気配り」から、信長の目にとまり、大出世の糸口になった。
 また秀吉が長浜城主になった時、咽が渇いてあるお寺にお茶を飲みに立ち寄った時の話である。その時に接待に出たのが十三歳位の小姓であった。始めはぬるいお茶を、二回目はやや熱いお茶を、三回目には本当に熱いお茶を差し出した。この時の三杯のお茶くみの作法に感動した秀吉は、この小姓をすぐに自分の近習とした。のちの石田三成であり、秀吉の片腕となった。
 秀吉も三成もちょっとした「気配り」がチャンスとなり、出世街道につながった。
 不況の今の世、何かいいことないかといろんな人と出会うが、なんとなく一日を過ごしてしまうことも多い。だが、人と会った時に相手に対してちょっとしたことでも何かをしてやりたいという心がけと、何気ない「気配り」が仕事にも結びつくような気がするが、簡単なようでなかなかむずかしい。
【文:高田 金道】