戦国新報
 
 
平成12年 前期
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やさしさが最大の武器
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 人は、やさしくしてやるとやさしくしてもらえる。いたわってやるといたわってもらえる。面倒をみてやると面倒をみてもらえる。しかし人によっては面倒をみてやっても、それが当たり前だと思い、何の反応も示さない人もいるような気がする。
 戦国の世、秀吉ほど相手を大切にした武将はいない。秀吉は幼い頃から飲まず食わずの生活をし、多くの経験を通して、人にやさしくしなければ必ず反発を食らうし、相手を傷つければ必ず傷つけられるということを、幼いころから骨の髄まで思い知らされていた。
 秀吉の軍師、竹中半兵衛は胸を患い、自分に寿命が後がないことを知ると、軍師のバトンタッチのため、黒田官兵衛を呼びこう言った。「秀吉様は骨の髄まで情けのお方だ。今までたった一人の人間も切ったことがないほどのやさしいお方だ。秀吉様はやさしさが最大の武器である」と言った。
 秀吉のこの「やさしさ」が多くの武将や家来、女性、そして敵方の人間の心をよくつかんだため、天下人に昇り詰めた。
 不況の世の中、やさしさを大事に一生懸命がんばることで良い結果が生まれてくるような気がするが、なかなかむずかしい。
【文:高田 金道】