戦国新報
 
 
平成12年 前期
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やる気と目標
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 何かひとつの仕事をする場合「やる気」を持ってやるのと、ただお茶を飲み口先だけのことでは結果が違う。どんなに優れたテクニックやアイデアを持っていても「やる気」がなければ宝のもちぐされ。「やる気」とは人にできることが、自分にできないはずはないと強い信念を持ってがんばることのような気がする。
 戦国の世、秀吉が信長に就職して最初の仕事が草履取りであった。普通はただの草履取りかと思うのだが、秀吉は違った。どうしたら信長様に喜んでもらえる草履取りになれるかと考え、そして草履取りという仕事に対して強い信念を持ち、日本一の草履取りになろうと決心した。ある冬の寒い朝、草履が冷たいので、自分の胸の内に草履を入れ暖めた。それを履いた信長は一瞬草履が暖かいため、自分の草履に座っていたと思い怒りだしたが、秀吉は草履で汚れた自分の胸を見せて説明した。信長は「なかなか気の利いた奴だ。なかなかやりおるわい」と感心し、すぐに炭奉行に抜擢した。炭奉行はいつも赤字であった。そのため秀吉は各武将達に「どんどん炭を使ってください」と回って歩き「そのかわり炭がなくなれば寒い所で生活しなければなりませんよ」とハッタリをきかせた。武将達はそれから経済的に炭を使うようになり、赤字を解消できた。
 秀吉の「やる気」と目標に向かって努力した過程から生まれた解決方法である。
 不況の世の中、「やる気」と必ず目標を達成するのだという強い信念を持ってがんばることで良い方向に進むような気がするがなかなかむずかしいことだ。
【文:高田 金道】