戦国新報
 
 
平成12年 後期
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非常識から物事を考える
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 世の中一般的には「常識」で動いている。戦国の世、信長ほど「常識」では考えられないやり方で天下を目指した武将はいない。「非常識の固まり」であった信長は、「尾張の大うつけ者」と周りから笑われた。だが、信長の心の中は「エネルギー」の固まりであった。桶狭間の戦いにおいても、誰も考えつかない奇襲攻撃で義元を討ち取った。また長篠の合戦では、誰も使用したことのない三千丁の鉄砲で、天下無敵と言われた武田騎馬隊を討ち破った。すべての面でやることなすこと「非常識」であった。信長は古い社会構造を一掃して、活力のある新しい時代を築こうとして天下に旋風を巻き起こしたのである。
 あるアメリカの家電屋のひとりの営業マンが、アラスカに冷蔵庫を売りに行くと言ったら、周りの営業マン達から笑われた。しかしその営業マンは、冷蔵庫は食べ物を低温や高温から守り常に適温に保つものだ。寒すぎるために食べ物が駄目になるアラスカでは必ず売れると言って営業に出かけた。これが大当たりとなって、その家電屋さんの営業マンは売り上げを伸ばしたという。
 不況の世の中、常識ではどうしようもないことでも、一歩踏み込んだ考え方で知恵をしぼり、がんばることが大事なような気がするがなかなかむずかしい。
【文:高田 金道】