戦国新報
 
 
平成12年 後期
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何事も積み重ね
すすむ
 世の中には「人使い」のうまい人とそうでない人がいる。人使いのうまい武将というともちろん秀吉である。底抜けの明るさで部下達をうまく使い分けた。また昨日の敵を許せる広い心と、思いやりがあり、さらに優れたアイデアで仕事をこなすという、すべての面で魅力的なリーダーだった。
 その秀吉に「そなたは尾張中村の百姓のせがれとして生まれ、そして天下を取られたが、最初からそれを目指してやってこられたのか」と大阪堺のある商人が尋ねた。秀吉は「とんでもない。そんな大それた考えは一粒も持たなかった。信長様に仕えて、草履取りの時は一生懸命草履取りをやったし、武士に取り立てられた時は、頼りにされるりっぱな武士になろうと努力した。その積み重ねよ」と笑って答えた。さらに「どんな仕事でも、自分が主体になって一生懸命に全力をつくすことが大切だ。それで自分の道を開くことができました」と答えたという。
 今の不況の世も、知恵と汗を流して、一度でだめなら二度三度と積み重ねてがんばることで、良い結果が生まれるような気がするが、なかなかむずかしいことだ。
【文:高田 金道】