戦国新報
 
 
平成12年 後期
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 他人のことは良く見えるが、自分の欠点は良く見えないし、気づかないものだ。また、仕事で他人に迷惑をかけたりあるいは失敗した時、よく言い訳をしたり、弁解をしたりする人がいる。「私は間違っていません」と必ず言う。失敗ははっきりしているのに、なぜ素直に「申し訳ありませんでした」と言えないのだろうか。
 言い訳する気持ちを捨てないと何度も同じ失敗を繰り返すような気がする。本人はプライドを気にしているのか性格なのか、しかし頭を下げる勇気も必要である。もし「申し訳ありませんでした」と反省する気持ちがあれば、次への大事なステップとなり、同じ失敗をしないような気がする。
 戦国の世、二代将軍、徳川秀忠は家康の後継者として、スパルタ教育を受けた。その教育は秀忠自身でさえ「これが親か」疑う程だったという。きびしい「父と子」ではなく「師と弟子」のようである。家康は秀忠をあまりそばに置かなかった。そばに置くと情が移り、子が甘えるからである。「自分の欠点、いたらなさ」を身にしみて気づくようでなければ本物の将軍とは言えないという。難儀して取った天下、そして徳川時代を長く築くため、そして守るために、家康は秀忠を決して甘やかさなかったのである。
 今の世も同じで、自分に厳しく、常に冷静に、間違ったことは素直に反省して、そして責任を持って、一所懸命がんばることが大事だが、なかなかむずかしいことだ。
【文:高田 金道】