戦国新報
 
 
平成11年 後期
もどる
秀吉は教え好き
すすむ
 世の中には教えることが「好きな人」と「嫌いな人」がいるような気がする。相手の間違いに黙っているのが我慢できないで教えたり、アカの他人であっても困った顔をしているとすぐに「どうしました」と訪ね「こうすればよい」と助けてあげるのが好きな人である。「教え好き」は「話好き」とは少し違うような気がする。
 戦国の世、秀吉ほど「教え好きな人」はいなかった。秀吉は他人の話をよく聞くが、聞いたこと覚えたことはよく部下達に教えた。情熱と、愛情を持って教える秀吉を、部下達は自然に信頼し、秀吉の話によく耳を傾けた。
 教えすぎると嫌がる人もいるが、相手のタイミングをはかり、そして自分の「考え方」、「やり方」を理解してもらい、相手に安心感を与えて信頼されることも大事なような気がする。
 経営者自ら「教え好き」になるということは、直接部下達に自分の考え方を聞いてもらい、そして短時間で一人前に育ってもらいたいという、いわば人材育成のポイントになるような気がする。
 不況の世の中あまり教えすぎると「こまかい」「うるさい」「しつこい」と言われることがあるが、自分の考えを情熱を持って理解してもらい、この不況に一致団結して取り組むことが大事なような気がする。だがなかなかむずかしい。
【文:高田 金道】