戦国新報
 
 
平成10年 前期
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人材活用の達人…秀吉
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 冬季オリンピックも無事に終了し、過去最高のメダル獲得数に感動し、不況な世を忘れた気分でした。
 最近オリンピックのメダル受賞者に日本でも賞金が出るようになりましたが、そのルーツが秀吉だったとしたら…。 秀吉は合戦で手柄をたてた兵にその場ですぐに金貨・銀貨を与えて労をねぎらったといいます。こういう秀吉の気前の良さが戦の勝利に結びついたのが「中国大返し」である。信長が本能寺において光秀に襲われたとの報告を受けるやいなや、秀吉のやったことがすごかった。姫路城にあった金、銀、米のすべてを残らず家臣に与え、自分は無一文になってしまったのである。主君が全財産をなげうっての出陣に兵達の意気も完全に盛り上がったのである。秀吉はこの捨て身の投資で天下を取ったといってもいいだろう。いわば人を動かすことの達人と言えるかもしれない。相手が主君であろうが、家来であろうが嘘をつかず決してだましたりしない。これが人と人との信用につながっていくのである。
 今の不況な世も、人との信頼や信用が大事な気がするのだが、なかなか秀吉のようにいかないものだ。
【文:高田 金道】