戦国新報
 
 
平成10年 後期
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弱点を隠さなかった秀吉
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 ある二人の男性がひとりの女性に好意を持っていた。Aは自分の弱点を隠す性格でBは弱点をさらけだす性格だった。
 たまたま三人で会話していて東京の話題になった。Aは「東京は隅々まで知っているからどこでも案内してあげますよ」と偉そうに言った。Bは「東京はあまり知らないから、一緒にお酒でも飲みましょう」と正直に話した。女性の心は正直なBに傾いた。弱点を隠したがるAは自分の偉さを誇示し、東京を知ってるから、すばらしい人間であることを演じようとしたために嫌われた。
 秀吉の妻「ねね」は、独身時代、家柄の良い各大名の子息から声をかけられたが、誰もが自分の弱点を隠す性格だった。
 弱点を隠さないで、素直に自分の本音をさらけ出す百姓出身の秀吉は、ねねにとって頼もしく映ったようである。
 不況の世の中、いろいろなところに営業に歩く時、自分の弱点を隠さず、誠心誠意努力することで良い方向に進むような気がするが、なかなかむずかしい。
【文:高田 金道】