百姓の出だから、学問もない。金もない。おまけに体力もない。裸一貫から知恵をしぼり、天下を取った秀吉。その陰には弟小一郎のアドバイスがあった。小一郎は人柄が良く、地味で堅実。そして気配りに富んでいた。常にアクセルを踏み続ける秀吉に、時にはブレーキを踏むことを教えた。秀吉も小一郎に忠告されると素直に反省したようだ。
才気にまかせてつっぱしり、回りの武将達と摩擦を起こしがちな秀吉の後ろで、沈着冷静な小一郎がしっかりとカバーする。こういして小一郎が身近かで補佐するようになってから秀吉の評判もよくなった。
戦国時代、兄弟が力を合わせて出世していく様は、まれなことであった。秀吉を天下人にのしあげた第一の功労者はこの小一郎といっても過言ではないだろう。
不況な今の世も身内の意見、忠告をよく聞いて、また他人の良いところも認め、それを勉強することによって、いい方向に進んで行くのではないだろうか。だが、むずかしい。
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