戦国新報
 
 
平成8年 前期
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人には適材適所がある
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 人は自分の能力にあった仕事には本領を発揮するが、不向きな仕事は実力も出せず気を使いすぎて結局失敗したりする。このことは現代の社会でもよく見られる。
 この部下はこの部門の仕事はすぐれた働きをしてくれるだろうと期待したが、一向に成績を上げなかったり、失敗したりすると、上司は裏切られたような気持ちになって、処罰することが多くみられる。部署替え、左遷という類いだろうが、秀吉の軍師、黒田官兵衛はさすがにこのあたりをよく心得ていたようである。
 官兵衛に言わせるとこれは部下の能力よりも上司の判断力の無さによるものであるという。まず上司自らが自分の人をみる目のなさを恥じることであって、ましてや部下の処罰などというものは、もってのほかというのである。 上の人間がこのように自分にきびしくあれば、使われる部下も上司に恥をかかせないために、なんとか期待に応えようと一生懸命に働く。部下への思いやりが部下の心をつかむのである。
 今の経営者も戦国大名と同じである。常に背水の陣で物事を考え、部下との信頼関係を大事に、常に思いやりの気持ちをもって、この不況に対処していかなければならないのではないだろうか。だがなかなかむずかしい。
【文:高田 金道】