戦国新報
 
 
平成8年 後期
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先走りすると落とし穴が待っている
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 信長の生涯を語る時、どうしても避けられないのが、本能寺の変である。
 あれほど部下を掌握し、人間離れした洞察力を持った天才が、なぜ、京都を空白地帯にしてしまったのだろうか。なぜ、わずかな家来しか残さず滞在するという隙を作ったのだろうか。
 それは天下統一を目の前にして、まさか自分の家来、それも第一の腹心、明智光秀が逆心を起こすはずがないという、心の隙があったのだと思われる。
 天才信長も目の前におぼろげに見えてきた天下統一に、思わず先走りをして、思わぬ落とし穴にはまったという感じがする。
 今の世の中、不況だが、先を急ぐことによって、とてつもなく大きな穴に落ちるような場合もある。こんな時はじっくり腰を落として、落ち着いて、いままでの行動を振り返ってみることも必要な気がする。
【文:高田 金道】