戦国新報
 
 
平成8年 後期
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耐えて、辛抱する
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 信長は天才がゆえに部下との間に隔たりがあった。天下取りあと一歩のところで部下によって討たれた。天才の油断が招いた結果であった。
 秀吉は天下を取ったが、後継者を育てられず、一番のライバルであった家康に頼らざるを得なかった。 家康はこの二人の先輩の悲劇を自分の目でみてきた。自分は同じ失敗はくりかえすまいと、この二人に学んだに違いない。組織、体制、後継者作りに時間をかけて着々と手を打ったのである。
 戦国を代表する信長、秀吉、家康、この三名はそれぞれすばらしい個性の持ち主であるが、耐えて、辛抱して、そして実力を蓄えて時期の来るのを待った家康が、最終的には経営者として一番成功したといっていいだろう。
 不況が続く今の時代も耐えて辛抱して景気がよくなるのを待つことが大事なのではないだろうか。だが、なかなかむずかしい。
【文:高田 金道】