戦国新報
 
 
平成5年 前期
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忘れかけた桐の木…
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 桐は昔から下駄やタンスの材料として盛んに用いられていました。また、女の子が生まれると庭に桐の木を植える習慣もありました。その子がお嫁に行く時、その桐の木を切ってタンスの材料にしたといわれます。
 この桐が単独で皇室のご紋のひとつとして用いられるようになったのは、鎌倉時代になてからといわれます。
 後になって、桐紋が武家に多く用いられたのは、後醍醐天皇が建武の中興の功績により、足利尊氏に桐紋を下賜されてからといわれています。その後も足利将軍は功績のあった武将に桐紋を与えましたが、織田信長もその中の一人でした。
 豊臣秀吉もまた、例外ではなく、下賜された桐紋を誇りとして、戦功のあった家臣や婚姻を結んだ家に気前よく桐紋を与えました。
 こうして桐紋は皇室から、将軍へ、そして武将達へと与えられ、あまりにも氾濫したため、桐紋の使用禁止令が発せられたほどでした。
【文:高田 金道】