戦国新報
 
 
平成18年 前期
【 H18.5.14】
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ちょっとの油断が命取り
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 うぬぼれと油断で緊張感がゆるむと、スポーツの世界ではいくら強くても、ややもすれば弱い者に負ける場合もあると思う。
 戦国の世、圧倒的に優勢であったが、ちょっとの油断が命取りになった今川義元。義元は十八歳で家督を継ぎ、国力の増強につとめ「街道一の弓取り」と言われるほど強大な勢力を築き名君とも呼ばれた。義元の夢は京に上り天下を取ることだった。長い年月をかけて築きあげて上洛の準備がととのい、四十二歳の厄年を迎え、二万五千の大軍を率いて堂々と出陣した。目の前の敵と言えば尾張の信長ぐらい。信長は「うつけ者」と悪評も高く、義元から見れば、二十七歳の若造に何ができるかと信長など眼中になく、京に入ってからの計画で頭がいっぱいだった。ここに義元はうぬぼれと油断で緊張感がゆるんだ。このスキを信長は見逃さず「死に物狂い」で桶狭間で奇襲攻撃をかけて義元を倒した。
 いつの世も、人を「見下したりみくびったり」すると、とんでもないしっぺ返しがある。常に初心を忘れず一所懸命にがんばることが大事なような気がするがなかなかむずかしい。

【文:高田 金道】