戦国新報
 
 
平成12年 前期
もどる
人の意表をつく…
すすむ
 世の中不況で、ビジネスを取り巻く環境はかなり厳しい。この厳しい状況の中で生き抜くためには他人と同じことをやってもどうにもならないような気がする。個人レベルで物事を考えても、たったひとりの判断ミスで業績が落ち込む場合もあるし、逆に一人の判断で大きく業績が上がる場合もある。ようするに「独創的」な「発想」と「正しい判断」が「浮き沈み」のカギをにぎるような気がする。
 戦国の世、信長は、「常に他国の武将の考えないことを考え、そして意表をつくという考え方でないと、戦に勝つことはできない」と言った。また、「厳しい戦いを生き抜くためには、単なるチームワークが良くても駄目だ。ようするに仲良し軍団では敵を打ち破ることはできない」とも言った。
 信長は、人を採用するにしても、家柄とか学歴にこだわるのではなく、たとえ農家の倅であっても「独創的な発想」の持ち主であったなら、迷わず採用するという考え方であった。木下藤吉郎はまさにその典型であった。信長という「独創的な発想」の主君に採用された藤吉郎は、まさに人の「意表をつく」ことを得意として、めきめきと頭角を現していった。
 不況の今の世も、信長と秀吉のような「独創的な発想」が大事であるが、現実にはなかなかむずかしい。
【文:高田 金道】