戦国新報
 
 
平成11年 後期
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背水の陣
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 何か物事を始める時に「自分がやらなくても誰かがやるだろう」と思う人もいれば「俺がやらなきゃ誰がやる」と自らに言い聞かせて全力で立ち向かってがんばる人もいる。「よし、これでいい」と思ったらすぐに決断し、必ず成功するものと信じて立ち向かう人もいるし、モタモタしてせっかくのチャンスを逃してしまう人もいる。
 チャンスが来たら「逃げ道」をふさぐことも大事なような気がする。
 戦国の世、毛利元就は四千の兵で瀬戸内の小島、厳島神社で有名な厳島で、陶晴賢軍二万の兵と相対した。元就は常識では勝ち目のない戦に、ある行動をおこした。乗ってきた船を全て帰して、「背水の陣」を敷いたのである。元就の部下達は「背水の陣」におかれたことを知り、決死の覚悟で奇襲攻撃をかけ、ついには勝利を得たのである。この戦は元就の中国地方制覇の足がかりになり、運命が大きく開かれた。世に言う「厳島の合戦」である。
 不況の世の中、常にやり遂げるという積極的な気持ちで立ち向かい、がんばることが大事なような気がするが、なかなかむずかしいことだ。
【文:高田 金道】