戦国新報
 
 
平成9年 前期
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「運」は一生懸命努力することによって
向こうからやってくる
すすむ
 ゴルフ場で、ボールを打った瞬間に松林に入った時や、スピード違反で捕まった時など、たいていの人は、今日は「運」が悪かったと嘆く。
 だが、戦国武将、武田信玄はそう簡単にかたづけなかった。信玄は「負けるべきでない合戦に負けたり、滅ぶはずのない家が滅ぶのをみて、人は天命だと言う。しかし決して自分は天命だとは考えない。みんなやり方が悪いのであって、よく考えて行動すれば合戦に負けることもないし、家もつぶれなくてすむはずだ」戦えば必ず勝つ戦国の名将、武田信玄の言葉だけに重みがある。
 一般に、何事においても、失敗するとすぐ「運が悪かった」という言い方をしたり、考えたりする。「勝負は時の運」ということわざもあるくらいだから、昔からそういう考え方は多かったと思う。しかし信玄はそういう考え方は間違っている。敗因はすべて自分にあるというのである。厳しい考え方であるが、食うか食われるかの戦国の世を生き抜き、勝ち抜いていくためには厳しい自己反省、自己検討力が必要だったのだと思う。 今の不況な世の中も、生き残るために、一生懸命がんばることで良い「運」は向こうからやってくるような気がする。だがなかなか難しい。
【文:高田 金道】