戦国新報
 
 
平成9年 後期
もどる
勝ったと思うな油断とおごり
すすむ
 スポーツの世界で、一戦終わると勝者はホッとするし安心もする。そこにこれでいいという油断が生まれるようである。一方、敗者は負けた悔しさを「バネ」にして勝者を上回る努力をして再度挑戦してくる。勝者は敗者以上に努力しないと勝ち続けるのは不可能のような気がする。タイトルは奪うより「守る」ことの方が難しい。 仕事の面でもいい仕事ができたと満足してしまっては、それ以上成長することはできないような気がする。 戦国にも同じようなことが起きている。「桶狭間の戦い」である。今川義元が二万五千の大軍を率い天下を取るため京都に向かう途中、尾張に進入した。迎え撃つ織田の戦力は二千五百。とうてい今川の敵ではない。しかし信長は桶狭間で今川の本陣を急襲して義元を討ち取ってしまうのである。信長の勝因はすばやい行動と常勝の今川軍の情報網にかからなかったことにある。義元にすれば尾張への進入は文字通り完璧な計画であったにちがいない。そこに、おごりと油断が生じたのである。
 いつの世も油断とおごりが自分の首を締めるような気がするが、現実はなかなかむずかしい。
【文:高田 金道】