戦国新報
 
 
平成6年 後期
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農民を大事にしないと国が滅びる
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 信長は生涯、多くの戦争をしたが、本心は平和主義者だった。戦争が起こると一番被害を受けるのは田畑を荒らされる農民であった。
 こんな話がある。信長が合戦にでたとき、畑の中で一人の農民がイビキをかいて寝ていた。部下が言った「あいつはけしからんやつです。領主様が合戦に出向こうという時に高イビキで寝ているとは。斬り捨てましょう」
 すると信長はニコニコ笑ってこう言った。「ほうっておけ。俺は農民がいつでも高イビキで寝られるような国にしたいのだ。今こうして戦争しているのはそれが目的なのだ」
 国が平和になることによって戦いはなくなり、農民は安心して仕事ができるという、この基本理念があったからこそ信長は戦争を早くやめるため、大掛かりな戦争をしたのである。
 信長の平和主義から秀吉の豊かな国づくり。そして家康は信長と秀吉のこの考え方を持続したのではないだろうか。
【文:高田 金道】