戦国新報
 
 
平成5年 前期
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秀吉の「長短槍試合」
酒の呑ませ方にもコツがある
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 ある正月、信長が酒宴の席で「いったい槍というものは、長いのが得か、短いのが得か?」と聞いた。
 槍術教師は、短い槍が得だといったが、秀吉は長い槍が得だといった。信長は議論ではらちがあかないので、「ふたりに足軽を五十人ずつ与えるから、三日間訓練した後、試合をしろ」と命じた。
 以後三日間、槍術教師は五十人の足軽ひとりひとりに槍術を教え込んだ。せっかくの集団を、彼は五十分の一単位にしてしまった。
 これに対し秀吉は槍の稽古なんか一切しなかった。彼は三日の間、足軽達に毎日毎日「呑ませた」のである。結果は連日の酒宴でチームワークにまさった、秀吉チームの圧勝だった。
【文:高田 金道】