戦国新報
 
 
平成3年 後期
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名将武田信玄は、トイレの中で作戦を練った
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 戦国の名将武田信玄は、すでに水洗トイレを使用していたといいます。それも現代人の家の中のトイレのようなものではなく、京間六畳敷というスケールの大きなもので、しかも風呂の水を下水として流すシステムになっていたといわれています。そしてトイレのにおいをなくすためにトイレに香炉を置き、当番を決めて、朝・昼晩の三回、香炉の火をたやさないようにさせていました。そして信玄は、その沈香ただよう六畳間の水洗トイレで、種々の作戦を練っていたといいます。さらに「甲陽軍鑑」によれば、信玄はトイレの中で、訴訟にかかわる判決の原案を考えていたことが記されています。つまり水洗トイレの入口に国名と郡名が書かれている状箱が置いてあり、家臣は、それに訴訟関係書類を集めて入れておき信玄はその書類を水洗トイレの中で見ながら実否の判断を下したと言われています。
【文:高田 金道】