戦国新報
 
 

平成24年 後期
【 H24.12.16

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相手の様子を探る

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 学歴があり能力に自信のある人は、自信がありすぎて、他人の事を注意深く観察しようとするか…?

 戦国の世、学問があり教養もありプライドの高かった光秀。信長に認められ配下の武将の中で第一号として、近江坂本城主に大抜擢された。自らは美濃の国の土岐氏の血をひくという名門意識も高まり、ついには天下を目の前にした上司信長を本能寺で倒して、天下取りを試みた。

 だが、世話になった上司を倒すとはあまりにも名門意識や教養がじゃまになりすぎたのかもしれない。そして秀吉の能力を低く評価したところに光秀の誤算があった。この時、秀吉は中国地方で毛利方と戦いの最中、信長が倒されたことを聞き、びっくり仰天。自分を信頼していた配下とともにハングリー精神で、山崎の合戦で光秀を破った。一度は天下を取った光秀であったが、秀吉の行動や考え方を、あまり意識していなかったし、それ以上に、秀吉は誰も予想しなかった「中国大返し」という早業で、光秀の予想をひっくり返した。

 いつの世も、相手の様子を知らずして勝ち残ることはできないと思うが、なかなかむずかしい。(平成二十四年十二月十六日)

【文:高田 金道】