戦国新報
 
 

平成19年 前期
【 H19.2.18】

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温かい手を差し伸べられるか
すすむ

  人の弱みにつけ込む人、温かい手を差しのべる人、世の中にはいろいろいると思うが・・・。
  戦国の世、越後の龍と恐れられた上杉謙信、甲斐の虎と恐れられた武田信玄。二人は生涯のライバルであり、川中島での五回の合戦でも決着がつかなかった。ようするに意地の張り合いである。
その信玄が東海地方への進出を考えていた時、これを恐れた今川と北条は連携して甲斐の国への 「塩輸送」 を全面禁止した。甲斐は海に面していないので塩を取ることができない。塩は 「生命の糧」 であり 「活動の源」 とも言われ人が生きていくためには重要な物である。さすがの信玄も、領民も自滅するしかないと思った。この話を聞いた信玄の家臣達の中には、今こそ信玄を撃破する絶好のチャンスと喚く者もいた。だが謙信は人の弱みにつけ込むことはできないと戒め、信玄に書状を送り 「君との争いはいは領民には関係がない」 と 「塩」 を大量に運ばせたのである。大量の塩を見た信玄は涙を流して感謝した。「敵に塩を贈る」 というささやかな愛情のことわざになった話である。
 いつの世も、真のライバルはお互い緊張感を持ち、会社のため自分のために高めあうことが大事なことだが、「敵に塩を贈る」 ということは簡単なようでなかなかむずかしい。