戦国新報
 
 
平成18年 後期
【 H18.10.15】
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世論を気にするな
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 世論は大事なもので、権力者であっても世論にさからうことはあまりよくないという人もいるが…。
 戦国の世、今川義元二万五千の兵で織田領内に攻め込んだ。迎え撃つ信長軍は二千五百の兵である。誰の目から見ても戦は負ける。「尾張のうつけは終わりだ」と領民は絶望していた。信長の部下達、あるいはその時の世論は、ろう城して時をかせぐしかないと見ていた。
 ところが信長はその時の世論に反したのである。「勝負は時の運」とばかりに、桶狭間で勝ちムードにひたり休憩していた義元をめがけて、「我に続け」とばかり先頭に立ち奇襲攻撃で襲いかかり義元を倒してしまったのである。信長の、世論に反して、誰もが予想できなかった奇襲攻撃が天下取りへの足がかりとなったのである。
 いつの世も、いろいろな困難な面もあるが、静かによく見つめて、よく考えて対処することが大事だと思う。すると案外良い道も開けてくるような気がするが、なかなかむずかしい。

【文:高田 金道】