戦国新報
 
 
平成18年 前期
【 H18.1.22】
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へそくり
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 最近景気が悪いせいか「へそくり」を貯めているという話はあまり聞かない。もし「へそくり」をためているのなら、はたして何に使うのだろうか…。「へそくり」というお金はたいしたことのないお金に思えるが、使い道によっては大変価値のあるお金であるような気がするが…。
 戦国の世、妻の知恵と「へそくり」で、土佐二十四万石の大名まで出世した山内一豊。一豊が信長の家来になって間もない頃の話である。信長の馬好きは有名であった。ある時、部下達に「馬揃い」を模様した。各武将達はそれなりの馬を出したが、一豊の妻、千代は夫の顔を立てるために、今まで貯めてあった自分の「へそくり」を全部はたいて夫に名馬を買ってやった。その名馬が信長の目にとまり、織田家の随一の名馬だと信長は多いに喜び一豊を誉めたたえた。夫にチャンスがきた時は何とかして出世させてやりたいという千代の「内助の功」から生まれた知恵であった。
 今の世も、景気が悪いから「へそくり」する余裕はないと思うが、「へそくり」をためるには辛抱しなければならないと思う。辛抱して貯めた「へそくり」はなかなかもったいなくて使えないと思うが、家族のためにどうしても必要な時には、かなりの価値のあるお金になると思うが、辛抱して貯めるということはなかなかむずかしいことだ。

【文:高田 金道】