戦国新報
 
 
平成17年 前期
【 H17.5.15】
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敵を見下す
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 スポーツの世界で、勝負に自信があって圧倒的に優勢であっても、相手を見下したりすると、ちょっとの油断で命取りになる場合がある。
 戦国の世、十八歳で家督を継ぎ、国力の増強に努め「海道一の弓取り」と言われるほど巨大な力を築いた今川義元。四十二歳の厄年を迎えて、二万五千の兵を率いて京を目指した。目の前の敵といえば信長ぐらい。
 しかし信長は「うつけ者」と悪評が高く、家臣からも信頼されていないし、大した相手ではないという、義元の見下した見方であった。信長の兵力は最大で三千位、今川軍とは圧倒的な差があった。そんな二十七歳の若造に何ができるか。義元にとって信長など眼中にはなかったのである。
 義元は京に入ってからの計画で頭がいっぱいで、「油断とうぬぼれ」から緊張感がゆるんでいた。このスキを信長は逃さず、桶狭間で奇襲攻撃をかけ義元を破った。義元にとって「ちょっとの油断」から生じた「あっけない」最後であった。
 いつの世も、「おごり」と「うぬぼれ」と「油断」は禁物だ。常に「謙虚」で一所懸命努力してこそ、良い結果が生まれてくるような気がするが、なかなかむずかしい。

【文:高田 金道】