戦国新報
 
 
平成15年 後期
【 H15.9.7
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捨て身の決断
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 高校野球の県北大会が始まった。勝負は時の運、今日勝ってもいつ敗者側に転落するかわからない。同じ負けるにしても単なる負け犬になってしまったのでは、相手になめられてしまうし、自信を持たせてしまう。同じ負け方でも「手ごわい相手だ。二度と戦いたくない」と思わせるような負け方が大事なような気がする。
 戦国の世、天下分け目の関ヶ原の合戦で、西軍総帥石田三成と東軍総帥徳川家康の戦いである。最初は西軍の有利に進んだが、西軍の小早川秀秋のうらぎりによって、西軍は総崩れとなった。西軍は背後の伊吹山に敗走することになった。この時、戦場に残ったのは島津隊のみであった。大将島津義弘は「伊吹山に逃げるのでは薩摩隼人の面目が立たない。同じ逃げるにしても後々まで残る逃げ方をしなければならない」と言って、東軍のど真ん中に全軍一丸となり「一本の火のついた矢のごとく」突入し、家康の本陣の前を疾風のように駆け抜けた。破れたとはいえ薩摩軍の恐ろしさは家康の脳裏に深く刻まれた。合戦が終わり、西軍に加担した大名達は、家康に領地のほとんどを没収されたが、薩摩藩だけは何事もおとがめがなかった。
 今の競争社会においても、いい時も悪い時もある。毎日の仕事には常に「捨て身の決断」が必要だが…。しかしなかなかむずかしいことだなあ…。

【文:高田 金道】