戦国新報
 
 
平成14年 前期
【 H14.3.31】
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素直に弱点を見せられるか・・・
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 人には自分の「弱み」を素直に見せる人と、隠す人がいるような気がする。一般に「弱み」を隠す人の方が多い。そうしないと他人から大した人間ではないように思われるからだ。だが、まったく気にしないで素直に「弱み」をさらけ出す人がいる。するとなんとなく愛嬌があり、他人はその人の「弱み」に対して何かしてやりたいという気持ちになる。「弱み」をさらけ出す人には友人が多いような気がする。反対に「弱み」が見えない人は、完璧でスキがないため近寄りがたいから友人もだんだん離れていく。
 戦国の世、「弱み」を見せない武将は、明智光秀と石田三成である。知恵者でもあり、すぐれたリーダーでもあった光秀は、本能寺で信長を倒した後、山崎の合戦で秀吉に負けて逃亡した時、回りにいた部下はたったの6人であった。三成も秀吉亡き後、関ヶ原の合戦で西軍の大将として、家康と戦い破れたが、おちのびた時はたったの一人であった。「弱み」を見せなかった二人の武将は、結局部下達に見捨てられたのである。
 その点、松永弾正という武将は、悪者の代表と言われているが、素直な心の持ち主で、「弱み」を見せる武将であった。その弾正が信長との戦で敗れた時、千六百人の部下が殉死したとも言われている。
 自分の「弱み」は、何も隠しとおすものではないと思う。素直な心と笑顔と愛嬌があればかえって他人からあの人は「裏がない人だと」安心され、友人も増えてくるような気がするが、なかなかむずかしいことだ。
【文:高田 金道】