戦国新報
 
 
平成13年 前期
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決断とタイミング
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 人は決断に迷うときが必ずある。そして同じ決断でも、進む時の決断と退く時の決断がある。どっちの決断がむずかしいかと考えると…。どちらもむずかしい。だが、退く方が進む方よりもむずかしいような気がする。順調に進んでいる時の決断は、ある程度、部下に任せることもできるが、撤退する時の決断はリーダーが自ら下さなくてはならないし、その責任は重大であるような気がする。
 秀吉の一世一代の決断は、中国地方、毛利方の高松城水攻めの最中の時だった。本能寺で信長が部下の光秀によって倒されたという訃報を聞き、信長の死を隠して講話を結び、豪雨の山陽道を京に向かうという「中国大返し」の決断である。秀吉の退く時の決断とタイミング、進む時の決断とタイミングのするどさが天下取りへの足がかりとなった。
 不況の世の中、直接不況を受けている人、あまりその影響がない人。人によって考え方も決断も違ってくる。不況だから決断の仕方ひとつで、会社の運命を左右しかねない。
 勇気と決断とタイミングの良さが、不況を乗り越える足がかりになるような気がするが、なかなかむずかしいことだ。
【文:高田 金道】