戦国新報
 
 
平成13年 前期
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短気は損気
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 たまに頭に血がのぼってくる時もある。だが怒った後の後味の悪いこと。「短気は損気」といって「ああ、怒らなければよかったなあ」とつくづく思う。「気は長く」「心は広く」「腹を立てず」という言葉があるが、「己を責めて人を責めるな」の言葉のように腹をたてないで過ごしたいものだ…。
 戦国の世、秀吉は「相手を怒ることによって、後で大きな損害のツケが回ってくる。怒りは敵と思え」と言うのである。また短気を起こすことで自分を滅ぼすことさえあると言う。
 元禄時代の赤穂浪士事件である。浅野内匠頭が殿中松の廊下で短気を起こして吉良上野介に斬りかかった。その結果、五万三千石の自分の国を滅ぼし、何千人の部下を路頭に迷わせたのである。「短気は損気」である。
 不況の世の中、腹も立てたくなるが、腹を立て人と争っても何の得もない。腹を立てるよりも義理を立てた方がいい。だが、なかなかむずかしいことだ。
【文:高田 金道】