戦国新報
 
 
平成12年 前期
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目的は京都
すすむ
 ある兄弟が馬をひいて歩いていた。回りの人から無駄なことをする。と言われ、兄が馬に乗ることにした。そしたら人から、弟に対する愛情がないと言われ、兄は嫌がる弟を無理矢理馬に乗せた。今度は礼儀の知らない弟だと言われ、それじゃと兄弟は二人で馬に乗った。今度は馬に対してひどすぎると言われた。結局兄弟二人で馬をかついで帰ってきた。兄弟は馬を仕事として利用するのか、馬をかわいがるのか、目的がはっきりしていなかった。状況判断の目的を考えないとこんなことになる。
 秀吉が川中島の戦跡を訪ねたとき「馬鹿な戦いをしたものだ」と批判した。また「移り変わりの激しい戦国時代に、目指すのは京都である。それも何十年も川中島で戦いをし、まるで将棋のように繰り返し戦っているようでは、たとえ勝っても収穫はない。それに引き替え信長様は、なりふり構わず信玄と和睦をし、謙信には部下達を対決させ、自分は京都に進出し、目的を達成した」と、自分の考えを意志決定することが大事なことを部下達にさとしたという。
 いつの世もはっきりと自分の目的を持って、積極的に有利な方法を求めてがんばることが大事なような気がするが、なかなかむずかしい。
【文:高田 金道】