戦国新報
 
 
平成11年 後期
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面子や意地にこだわるな
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 人は誰でも与えられた仕事を成功させたいと願うものだ。だがどんなに一生懸命がんばっても失敗することもある。自分で考え、計画し、できるという確信を持ってチャレンジしても、思うような成果が、なかなか上がるものではない。
 油断している訳でもなく「私は失敗しません。これまでの遅れた分は一発で取り返してみせます」という気持ちはわかるが、結果的に失敗に終わると、「意地」も「面子」も押し通せるものではない。
 戦国の世、若干十九歳の若武者、伊達政宗の初めての戦は、隣国の蘆名家との戦いであった。廻りの大名達が続々と蘆名の援軍として加わり、戦は政宗にとって苦しいものだった。血気盛んな政宗が退却することはありえないと、家臣達は覚悟を決めていた。しかし政宗は一声「ひと休みだ。だ。引き上げの準備をしろ」と言ってさっさと退却したのである。「面子」や「意地」に捕らわれ、戦を続けたら、後の政宗も伊達家の繁栄もなかったかもしれない。
 不況の世の中、時と場合によっては「面子」や「意地」を捨て、わからない時は人に聞き、一生懸命努力することで良い方向に進むような気がするが、なかなかむずかしい。
【文:高田 金道】