戦国新報
 
 
平成11年 後期
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欠席裁判
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 他人の背中はよく見えても、自分の背中は見えない。他人の欠点は見えるが自分の欠点はなかなか気づかない。自分の欠点は棚に上げて他人の欠点を指摘する人は結構いるが……
 昔から「人のふりみて我がふり直せ」という言葉もあるが、なかなか実行できないのが現実のような気がする。
 また他人の欠点を並べ立て、その場にいない人の話を「タネ」にして語り合うことを「欠席裁判」と言う人もいるが……
 戦国の世、秀吉は天下人になったとたん、自分の欠点あるいは過ちを指摘してくれる人がいないことに気がついた。そこで秀吉は自分の「欠点」あるいは「行動」「言動」に対して「過ち」があったなら、注意してくれと、最も気心が知れた人を「目付役」として頼んだ。そして秀吉は「欠点」や「勘違い」を指摘してもらい、素直な気持ちで改善に努めた。
 今の世の中、自分の欠点に気づき、素直な気持ちで改善に努めたいものだが、なかなかむずかしいことだ。
【文:高田 金道】