戦国新報
 
 
平成10年 前期
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一滴の水のように努力した秀吉
すすむ
 白神山地のブナの森に雨が降り、堆積したブナの葉の下をくぐりぬけ、やがて岩と岩の間から湧き出る。まだ「勢い」が弱い。浅い細い流れの時は一枚の木の葉に支えられ「苦労」して流れ、沢水となる。そしていくつかの流れと合流して「力」を増せば、さらに大きな「力」となり岩石をも打ち砕く。ついには大海の水となり船を浮かべる「力」となる。
 木の葉の下をくぐる一滴の水の「威力」がいかに大事であり、大きな「力」になるか教えてくれる。 人の一生もこの沢水のように辛抱強く努力を重ねればいつかは報われるような気がする。
 百姓の倅、秀吉も信長の「草履取り」をして苦労しなければ天下をつかむこともなく、また家康も今川の人質で苦労したことによって、徳川二百七十年の基礎を築くことができたと思う。
 現代の不況で困難な時代、辛抱強く努力をしてがんばらなければと思うのだが、なかなかむずかしい。
【文:高田 金道】